ひらた中央病院

現在、私は千葉県で内科医をしていますが、少し前にこの病院から「良かったら、うちにきませんか？」と声をかけられたのでひらた村のこの病院を訪ね、2日間にわたって「ひらた中央病院」の医療内容や職場環境、地域の方々との関わり合い、患者さんの感想や要望などの実情について、かなり丁寧かつ客観的に触れてきました。

まず、医療レベルについてですが、都内の大学関連の地域基幹病院と比較しても決して遜色はなく、少なくない分野で、この病院の方が優れていると判断される所もあると評価しました。

検査機器では内視鏡はNBI内視鏡が導入されています。これによって内視鏡観察のモニターでの肉眼的診断の精度がかなり高いという印象を受けました。
CTも通常の総合病院の診断では十分な性能の16列のマルチスライスCTが導入されていて感心したものです。16列ということは一つのCT機器に16個のデータを収集する部位があるということですのでよく見られる4列、8列のものと比較して、検査時間が短くて済み、その分被ばく量も激減し、呼吸によっての体動などによる影響も時間が短いため大幅に少なくなるという患者さんにも医療従事者にとっても利点があることを意味します。
超音波検査機器などは当然揃っていました。
検査機械の話はこれくらいにします。

次に感心したのは、この病院がカバー可能な診療圏の広さです。平田村と近隣の郡部からなる石川郡は勿論、郡山市やいわき市まで含むと知った時には素直に大したものだと感じました。阿武隈道？だったと思いますが、これを利用することも広い診療圏を可能にしている一つの要因だと考えられました。

今現在は違うかもしれませんが、病院の規模は200床に満たないものだと記憶しています。その規模に対して、福島県における医療機関でかなり大きな役割を担っていることが分かりました。

スタッフについては皆さん親切で、くどいくらいに詳しく私の質問に快く答えてくれ、具体的な質問については正確な資料を用意してくれるという具合で、決して誇張しない、そして過小評価しない対応でしたので実態そのものを推測ではなく理解できました。

患者さんに対しての対応も刺々しさなどは全く感じられず、良い意味でアットホームであったことがとても印象的でした。

私の滞在中、多いな、という感想を持ったのは救急要請が多かったことです。その場合でも受け入れ可能なことを前提に各部署に問い合わせをし、迅速に受け入れ態勢を整えていました。

かなり高度で集中的な治療が必要とされる患者さんの要請と全くの専門外の医療が必要とされるような場合は、救急要請を受け入れることが出来ず、承諾不可能なことを本当に悔しそうに救急隊に告げていたことも強く記憶に残っています。

病院を訪問した当時、私は婚約者との結婚を数ヶ月先に控えていることもあり、残念ながら「ひらた中央病院」で勤務することは断念いたしましたが、今でも時々この病院とスタッフと患者さんのことを思い出します。

医療機関で完璧ということは絶対にありませんが、この病院は少なくとも、スタッフの皆が、誇りを持ちながらも、決して独りよがりではなく、地域の人々の希望や必要性にしっかりと耳を傾け、可能な範囲ぎりぎりまでそういったことに応えるようにいつも動いている、そんな立派な人たちが営む、良い病院であると思います。

一週間くらいの入院でした。病院のパジャマと下着を利用することにしました。こちらからの申し出でのみの交換でした。