医療法人恒昭会藍野花園病院

私は去年の１２月に入院し始めたのですが最初は精神総合病院と聞いて不安でしたが主治医になってくれた先生が面白く私の心配だけでは無く家族の心配もしてくれる上に私の入院生活がストレスにならないように考慮もしてくれました。先生の診察が終わるとスタッフが私の荷物を持ってくれて病室まで案内してくれました。そこで病棟のスタッフに会いタバコが吸いたいから買いに行きたいと伝えるとタバコの吸える時間帯やタバコの買える近くのコンビニや散歩に出る条件など事細かく教えてくれました。正直な事を言うと病院食は美味しくないものと思っていたのですがその予想を裏切るくらい食事は美味しくメニューも豊富で見たこと聞いた事もないメニューもあり毎週月曜日に張り出される献立表が楽しみでした。全世界病院食ミシュランガイドがあれば確実に１つ星が取れるのは確実です！入院当初は昼間は散歩とタバコしか楽しみが無く夜は長くとても退屈だったのですが数日経ったある日病棟に入るドアの前でふいに声をかけられました振り向くと女性の方で彼女との出会いが今後の入院生活を劇的に変わる予兆だと気づかずその時は彼女が救いの女神だとは知らないまま廊下を歩きながら話しをすると作業療法士の先生だと名乗りました作業療法と言うは略してOTと言い地下にOT室があって色々な事が出来たり本を読んだり音楽を聴いたり畳みがあってくつろいだり出来る所なんですと丁寧に教えてくれたのですが興味がないと丁重に断ったのですがしつこく食い下がって来て体験だけでも一度足を運んでほしいと言うのでしぶしぶ了承しました。彼女は優しい目で明日の昼に病室に向かいに行くのでと約束したのですが次の日の約束の時間になっても待てども暮らせど来ないじゃありませか？ただの口約束やったんかと思っていた矢先30分遅れて病室に彼女が訪れて開口一番お待たせして申し訳ありませんと謝るので私は待ちくたびれお爺ちゃんになる所やったでと言うと彼女はじゃあ私はお婆ちゃんですよと返してきました。二人でOT室に向かう道中たわいのない話しをしてOT室まで案内してくれました。たどり着いたOT室は色んな病棟の人が集まっており色々な事をしていました。和室でギターを弾いている人ピアノを弾いている人ミシンや裁縫をしている人病棟の飾り付けの作業をしている人DVDを見ている人パソコンでネットをしている人本を読んでいる人音楽を聴いたりトランプで遊んでいる人達、将棋を勝負している人達、多種多様な趣味の人達が集まっている場所でした。私の目に止まったのはDVDと漫画でした。私はDVDを知らないので彼女に聞いて手取り足取り教えて貰いました。DVDの品揃えは非常に良く特に漫画のコ--ナ--は昔の名作から今の名作まで揃っていて飽きのこない小さな漫画喫茶のようで病院にしては、やるなあと感心しました。彼女の話しでは一回に３冊までレンタル出来て一週間まで貸し出しOKなんです。３冊ぐらいやったら１日で読み終わるでと言うと返却してくれれば、また貸し出し出来るんですけど病棟ごとにOT室の利用出来る日が違うんですねと私の病棟では水曜と土曜と日曜と祝日が無理らしくただし水曜は病棟OTと言い前もって貸して欲しい本を伝えてくれれば病棟まで持って来てくれると言う話しでした。私は早速漫画を借りてOT室をあとにし病室に戻り体験は終了しました！彼女との出会いOT室の存在が私の入院生活を画期的に変え朝昼は中庭でタバコを吸いOT室にあしげなく通い退屈だった夜は漫画を読んで過ごし辛い入院生活も楽しくエンジョイする事ができ私にとってまさに救いの女神が現れましたが一つだけ問題がありました？１日で読み終える漫画だけに土日の２日間が暇だったので救いの女神に相談したら日曜はさすがに無理ですけど土曜やったら本の貸し出しだけの出入りなら出来るように他のOTのスタッフに伝えておきますと心地よく承諾してくれました。救いの女神を筆頭にOTスタッフ全員ノリがよく物知りで愉快な人達でした。私は53A病棟にいたのですが最初は個室だったのですが個室の必要な患者さんが出てしまったので急遽大部屋に移って欲しいと言われ困惑しましたが仕方が無いと思い了承し大部屋に移る事になりました。大部屋には私の他に三人いたのですがとりあえず気の良さそうなお爺ちゃんに話し掛けたのですが私の言っている事は理解出来ているらしく私がお爺ちゃんの喋っている事が理解出来無くて愛想笑いと苦笑いをしていると急に怒りだし部屋を出て行ったのを見て前途多難だと思う反面このお爺ちゃんと会話のキャッチボ--ルが出来るスタッフが凄いと思いました。私は他の二人に話し掛けるか迷い結局タイミングを逃し喋る事が出来ませんでした。そうこう過ごしていると私は毎週木曜日が先生の診察だったのですがもうすぐしたら年末年始やけど病院が休みやから外泊してもいいよと言われたので先生にじゃあ新年は自宅で迎えるはと伝えると今年最後の診察が終わりました！丁度OT室も私の外泊期間は正月休みだったので良かったのですが救いの女神にお世話になりましたと挨拶が出来なかったのが心残りでした！年末年始を自宅で過ごした私は年が明けた４日の日に病院に戻り病室に行き荷物を置いてスタッフの居る詰所に新年の挨拶に行きその足でOT室に向かいました！毎回OT室の出迎えてくれるスタッフは違うのですがたまたま救いの女神が出迎えくれたので今年も短い間だと思いますがよろしくお願いいたしますと言うのも家庭の事情と保険の都合と体が大分回復して来ていたのでそう長くは入院しなくてもいいだろうと予想出来たので入院当初は幻聴や背中の痛み手足の痺れダイエットと不眠と問題はやまずみだったのですが先生が一つ一つ解決してくれました１ヶ月で身体の不調が背中の痛みと左足の痺れだけだったのであと１ヶ月も入院すれば完治するのでは無いかと思っていました！救いの女神に新年の挨拶をしていつも通り漫画を借りて病棟のドアの前で同じ病室の方と出くわし挨拶しようとした矢先向こうの方から私に話し掛けてきました！外泊されていたんですかどちらまで行かれてたんですかと質問してきたので私が自宅の方に戻ってましたと言うとどちらにお住まいなんですかと再度質問してきたので私が地名を答えると彼は僕も近所に住んでるんですよとこの瞬間から私達は意気投合し行動を共にするようになりました！彼の事はAさんと呼ぶ事にします！Aさんはタバコやペットボトルの緑茶とコーヒーに目がなくいつも地下のコンビニでスナック菓子や甘いオヤツを購入しているらしく私達は共通点が多く会話をしているうちにすぐに打ち解けました！彼と会話を重ねていく度に彼の人柄や性格がわかり私も自然と心を開いてリラックスして会話をする事が出来るようになり昼間は中庭でタバコを吸いながら色々な話題で盛り上がり夜は病室の前のベンチで消灯時間まで時が経つのも忘れ、たくさんの話題で熱く語り合いました！Aさんと仲良くなったのがきっかけで同じ病室の人達と知り合いになる事が出来るようになり残念ながら一人の方とは挨拶を交わす程度だったのですがBさんとも少し共有出来る話題があり、お爺ちゃんともベンチで隣に座って過ごせるようになりあいからわず何を話しているのかははちんぷんかんぷんだったのですが私の問いかけに頷いてくれるようになったのです。それから同じ病棟の特撮好きの方を始めにAさんの将棋の師匠や若い頃はおそらく大和撫子だったのではないかと雰囲気のある三つ編みをされたご年配の女性の方や車椅子に乗った石原裕次郎が大好きで同じご年配の女性とコミニケショ--ンを取るようになったのですが特に驚かされたのが入院生活を２３歳から送られていて今年で５６年目と言う78歳の大御所と言えばいいのか大ベテランと言えばいいのか病院の主と云うのかとにかく聞いた私は疑問と不思議が頭に巡り一つの質問を投げ掛けてみました！どうやって半世紀以上も入院出来るんですか？Cさんはおもむろに語り出しました。話せば長くなるねんけどな私はそりゃそうやろと半世紀以上の歴史を振り返って事細かく説明されても何日かかるかわからんやろとツッコミを入れたら、じゃあ手短に話すで耳の穴かっぽじいてようきいときやと言われ私は違う意味で生唾を飲み込み耳を傾けたのです！若い時に親が遺産を残してくれたんやけど兄弟でトラブルになってもうて兄に悪さしてもうてな逃げる羽目になってもうてな逃げ込める場所が病院しかなかったんや色んな病院をたらい回しにされて来て流れついたんがこの病院なんやお金はホンマに怖いんやワシが若い頃に何度も危ない橋を渡りかけたんやけどな人を変える力があるって身を持って経験してきたからなあんたもまだ若いんやから気をつけや！私は退院出来ないんですかと聞くとワシおらんなったら病院が困るんや私はふ~んと相づちを打ちなにか意味深だと思いどんな理由があるのかなと考えてこれ以上は深掘りしない方がいいのでは無いかとなにかよほどの事情があるんだと自分に納得させてこの話題にはそれ以上触れなかったのです！入院生活５６年と聞いた時はそんな話し生まれてこの年まで聞いた事がなかったのでこの人ギネスブックに載れるんちゃうんかなと思いました！そしてCさんもベンチ仲間になり時には自前のCDラジカセで音楽聴こうと誘ってくれるのですがなんせ年が30以上離れているので全然わからない歌や曲ばかりで私がいつの時代の歌なん？戦後の歌や聴いたり耳にした事無いか？そりゃ知らんわ？有名な歌手や名前を口にするのですが私は腕組みをして首を傾げるだけなのを見かねて、ちょっとワシの病室においでと言うので行ってみると沢山のCDやカセットがありましたその中から１枚のCDを取り出すとカ━ペンタ━ズやったら知ってるやろ？それやったら大丈夫👍それからひとときの音楽鑑賞を二人で楽しんだのです。
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ここには多くの仲間が今も大変なのでできれば早く戻りたかった病院の一角です。