歯列矯正の分割払いは学生でもできる?契約できる条件と3方式の総支払額

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矯正の見積もりを見て、桁がひとつ違うように感じた。学生のうちに歯並びを整えたいと考えたとき、多くの人が最初につまずくのがここです。アルバイト代でやりくりしている身に、数十万円は一括で用意できる金額ではありません。
分割払いがあることは知っていても、自分が契約できるのか、月々いくらになるのか、親に頼まないと始められないのか。判断する材料がないまま止まってしまいます。
この記事では支払い方法に絞って整理します。3方式の違い、金利で総支払額がどれだけ変わるか、本人名義で契約できる条件、アルバイト収入での審査、医療費控除を誰が申告するか。総額の相場は別の記事で扱っているため、ここでは「どう払うか」に集中します。
学生の分割払いは「年齢」と「収入」の2つで決まる
先に結論です。学生が歯列矯正を分割払いにできるかは、学生かどうかではなく年齢と収入の継続性の2つで決まります。
| 状況 | 本人名義で契約できるか | 現実的な選択肢 |
|---|---|---|
| 18歳未満 | 親権者の同意が要る | 親名義のデンタルローン/院内分割 |
| 18歳以上・アルバイト収入が続いている | 本人で申し込める(審査は別) | デンタルローン/院内分割/カード分割 |
| 18歳以上・収入がない、または不安定 | 申し込めるが通りにくい | 親の承諾書を添える/親名義/院内分割 |
| 収入はあるが元金が大きい | 申し込めるが金額次第 | 元金を下げる/回数を延ばす/親と分担する |
ここで決まるのは金額ではなく名義です。名義が決まると、使える方法も、審査の相手も、途中でやめたときに責任を負う人も連動します。一方で医療費控除だけは名義に縛られず、生計を一にする家族のうち誰が申告するかを選べます(後述)。
つまり、月々いくらかを計算する前に決めるのは「誰の名前で契約するか」です。曖昧にしたまま医院のカウンセリングに行くと、その場で判断を迫られます。
なお総額そのものの決まり方は歯列矯正の費用|総額を決める7つの費目と、料金体系で数十万円変わる仕組みで扱っています。
分割払いの3つの方法を同じ観点で比べる
学生が使える分割払いは大きく3つです。立て替える相手も審査の有無も期間も違います。金利の水準は、歯科提携のデンタルローンを扱う信販各社が公開する商品概要(実質年率の表示)と、カード会社が公表する分割払手数料率をもとに整理しました。
| 観点 | デンタルローン | 院内分割 | クレジットカード分割 |
|---|---|---|---|
| 立て替える相手 | 信販会社 | 医院 | カード会社 |
| 金利・手数料の目安 | 実質年率2.5〜8.8%程度 | 手数料なしの医院が多い | 実質年率12〜15%程度 |
| 支払回数 | 60回・84回など長期に設定できる商品がある | 治療期間内での完済を求める医院が多い | カードの分割回数の上限まで |
| 審査 | あり(申込のたびに受ける) | なし、または医院の簡易な確認 | カードを作るときに済んでいる |
| 上限 | 審査で決まる | 医院の設定した範囲 | カードの利用枠まで |
| 途中でやめたとき | 信販会社への返済は続く | 医院と精算を相談する | カード会社への返済は続く |
| 学生の使いやすさ | 収入の継続性が問われる | 月々の負担が大きくなりやすい | 枠があれば使えるが総額が増える |
デンタルローン(信販会社の立替払い)
歯科治療のための目的別ローンです。信販会社が治療費を医院にまとめて支払い、利用者は信販会社へ分割で返済します。
特徴は支払回数を長く取れることです。医院と提携している商品では60回や84回といった設定ができるものがあり、月々の負担を抑えられます。実質年率は幅がありますが、歯科提携商品の公表値では5%前後が中心です。
一方、利用には審査があります。ここが学生の関門です。金利がつくため、回数を延ばすほど総支払額も増えます。
院内分割(医院独自の分割)
医院が治療費を立て替え、患者が医院に直接分割で支払う形です。信販会社を挟まないため手数料が乗らない医院が多く、審査もないか簡易な確認で済みます。
ただし条件があります。多くの医院が治療期間内での完済を求めます。治療期間は1〜2年程度が多いため回数はその範囲に収まり、1回あたりの金額はデンタルローンより大きくなります。手数料がかからない代わりに期間の自由度がない方法です。
クレジットカードの分割払い
すでに持っているカードで決済し、カード会社の分割払いに回す方法です。新たな審査が不要で、その場で決められるのが利点です。
注意したいのは手数料です。カード分割の手数料は実質年率12〜15%程度が一般的とされ、3つのなかでは最も高い水準です。加えて利用枠を大きく使うため、他の支払いに回せる枠が減ります。
どの方法を選ぶかは元金によって変わります。その元金は、歯をどこまで動かす計画にするかで決まるため、検査を受けるまでは確定しません。まずは自分の総額を把握するところからです。無料で歯並びを診断してみる
金利の差は総支払額でいくらになるか
「年率5%」「年率15%」と言われても、最終的にいくら違うのかは実感しづらいものです。実額に直します。以下は元利均等での試算で、計算方法は商品によって異なります。
元金33万円のケース
| 条件 | 月々 | 総支払額 | 元金との差 |
|---|---|---|---|
| 院内分割・手数料なし・24回 | 13,750円 | 330,000円 | 0円 |
| デンタルローン 年率5%・36回 | 9,890円 | 356,054円 | +26,054円 |
| デンタルローン 年率5%・60回 | 6,228円 | 373,650円 | +43,650円 |
| カード分割 年率15%・36回 | 11,440円 | 411,824円 | +81,824円 |
元金66万円のケース
| 条件 | 月々 | 総支払額 | 元金との差 |
|---|---|---|---|
| 院内分割・手数料なし・24回 | 27,500円 | 660,000円 | 0円 |
| デンタルローン 年率5%・36回 | 19,781円 | 712,109円 | +52,109円 |
| デンタルローン 年率5%・84回 | 9,328円 | 783,584円 | +123,584円 |
| カード分割 年率15%・36回 | 22,879円 | 823,648円 | +163,648円 |
※歯列矯正は保険適用外の自由診療です。
※記載の金額は標準的な費用(税込)の目安です。
※費用は医院・症状により異なります。上記は金利の影響を比べる試算で、特定の商品の条件ではありません。
※主なリスク・副作用:治療中の痛みや違和感、歯根吸収、歯肉退縮、ブラックトライアングル、後戻りなど。
※分割払いの金利・手数料・回数の条件は信販会社・医院により異なります。
回数を増やすと月々は下がり、総額は上がる
回数を延ばすほど月々の負担は軽くなり、その分だけ総支払額は増えます。66万円を年率5%で借りると、36回と84回では月々が約1万円違い、総支払額は約7万円違います。
月々の額を優先したくなるのは自然です。ただし、回数を延ばすことは返済を将来の自分に渡すことでもあります。84回は7年。今20歳なら、返し終わるのは27歳です。回数は「今払えるか」だけでなく、「その期間払い続けるつもりがあるか」で決めてください。
元金そのものの目安はマウスピース矯正の値段はいくら?部分矯正と全体矯正の相場・総額の見積もり方にまとめています。
学生本人の名義で契約できるか
年齢で前提が変わります。
18歳未満の場合|親権者の同意が要る
18歳未満は民法上の未成年者にあたるため、ローンやクレジットの契約には親権者の同意が必要です。同意なく結んだ契約は、原則として後から取り消せます。
この取消権があるため、信販会社やカード会社は未成年者との契約に慎重です。実際には「本人名義に親権者の同意書を添える」か「親権者の名義で契約する」かで、高校生なら後者がほとんどです。つまり18歳未満は、支払い方法の検討より前に家族と話す段階が入ります。
18歳以上の場合|本人で契約できるが、取り消せなくなる
2022年4月1日の民法改正で成年年齢が20歳から18歳に引き下げられ、18歳・19歳は親の同意なくローンを組んだりクレジットカードを作ったりできるようになりました(出典:法務省、政府広報オンライン)。
ただし裏側があります。成年になると未成年者取消権が使えなくなるという点です。18歳未満なら親の同意なく結んだ契約を後から取り消せましたが、18歳を過ぎるとその保護はなくなります。
消費者庁が18歳・19歳向けに注意喚起を行っているのはこのためです。契約できることと、契約して問題がないことは別の話です。署名の前に、返済総額と期間を自分で読んでおく必要があります。
もうひとつ、法律上は18歳から契約できても、金融商品の申込条件は各社が独自に決めています。対象年齢を20歳以上のまま維持している商品も残っているため、18歳・19歳は医院に「提携しているローンの年齢条件はいくつからですか」と聞いて確かめてください。
アルバイト収入で審査は通るのか
本人名義で申し込めるとして、次の関門は審査です。
見られているのは金額より「継続性」
学生でも、アルバイトやパートで安定した収入が続いていれば申込は可能とされています。収入がまったくない状態では、親の承諾書や、返済を引き受ける人を立てることを求められるのが通常です。
見られているのは月収の大きさではありません。同じ月8万円でも、半年以上同じ勤務先で働いている場合と、単発の仕事を不定期にこなしている場合では扱いが変わります。
借入額の上限は収入から逆算される
安定した収入があっても、借入額が年収に対して大きすぎる場合は通りにくくなります。信販会社の立替払いでは、年収から生活維持に必要な費用と既存の債務の年間支払額を差し引いた「支払可能見込額」の範囲に収まるかが見られる仕組みですが、具体的な算定基準は各社が非公開で運用しています。
学生のアルバイト収入は年間100万円前後に収まることが多く、そこから生活費を差し引いた残りで年間の返済額を賄えるかが見られます。全体矯正の総額をそのまま本人名義で通そうとすると、この壁に当たります。逆に言えば、元金を下げれば審査の見通しは変わります。
在籍確認と、家族に知られるかどうか
勤務先への在籍確認が行われることもありますが、運用は会社によって異なります。電話をかける会社もあれば、書類だけで完結する会社もあります。
なお本人名義の契約で、信販会社から家族に連絡が入ることは通常ありません。ただし、収入がない、金額が大きいといった理由で親の承諾書を求められれば、その時点で家族に話すことになります。黙って進められる前提で計画を組まないほうが、途中で行き詰まりません。
審査に通らなかったときの4つの手
一度通らなくても、そこで終わりではありません。取れる手は段階的にあります。
1. 元金を下げる
動かす範囲を狭める、装置の種類を変えるなど、治療計画を見直します。前歯だけで済むかは前歯だけのマウスピース矯正はいくら?費用の幅とブランド別の料金を比較、値引きのある制度の見方は矯正のモニターはいくら安くなる?値引き型と報酬型の違いと確認すべき条件にまとめています。
2. 頭金を入れて借入額を減らす
貯金の一部を頭金に回し、残りを分割にします。審査にも総支払額にも効きます。
3. 親の承諾書を添える、または返済を引き受ける人を立てる
本人名義のまま、家族の関与を書面で示します。
4. 親名義に切り替える
審査の対象も返済の責任も親に移ります。収入が安定しない場合に案内されることの多い方法です。
1から順に検討すれば、家族に頼る度合いを抑えたまま解決できます。
返済期間と、卒業・就職を重ねて考える
ここが学生特有の論点です。社会人なら「毎月の収入から払えるか」だけを考えれば済みますが、学生の場合は支払いの途中で生活が変わることが前提になります。
3本の線を並べて書き出す
紙に3本の線を引いてみてください。
- 治療期間:装置をつけて歯を動かしている期間
- 返済期間:分割の支払いが続く期間
- 在学期間:今の収入で暮らしている期間
多くの学生は、この3本の長さが違うことに気づかないまま契約します。大学2年生が2年かかる治療を60回払い(5年)で契約すると、治療も在学期間も4年生で終わり、返済だけが就職後に2年ほど残ります。
重なり方が分かっていれば、「就職1年目の給料から毎月6千円を払い続ける」という将来の姿を先に確認できます。受け入れられるなら問題はありません。
なお治療期間がどう決まるかは歯の矯正期間は何で決まる?「最短3ヶ月」と「2年半」を分ける2つの変数で扱っています。ここでいう治療期間に、動かし終えた歯を留めておく保定期間は含みません。
院内分割は「在学中に払い切る」設計
院内分割は治療期間内での完済を求められることが多く、返済期間と治療期間がほぼ重なります。学生にとっては在学中に払い終わるという意味です。
手数料がかからず、卒業後に支払いを持ち越さないのが利点です。一方で月々の負担は3方式のなかで最も大きくなります。33万円を24回で割ると月13,750円。アルバイト収入が月6万〜8万円なら、2年間続けられるかは慎重に見積もる必要があります。
※歯列矯正は保険適用外の自由診療です。費用は医院・症状により異なります。
デンタルローンは「就職後まで残る」設計
回数を長く取れるため月々の負担は下がりますが、返済は就職後まで続きます。収入が増える分、返済そのものは楽になることが多いでしょう。
ただし就職のタイミングでは引っ越し費用やスーツ代、社会保険料の負担が重なります。進学など、収入が想定どおりにならない可能性もあります。長期の返済を選ぶなら、収入が途切れた時期にどうするかを契約前に確認してください。一時的な猶予に応じるかは会社によります。
治療期間と元金。この2つが分かれば3本の線は引けます。検査と診断を受ければ、費用をかけずに把握できるところもあります。無料で歯並びを診断してみる
親に出してもらう場合に決めておくこと
親名義で契約する、親に一部を負担してもらう場合、決めておきたいことが2つあります。
実際に払う人と契約名義がずれるとき
「契約は親名義にして、返済は自分がアルバイト代から親に渡す」という家庭は少なくありません。この場合、契約上の債務者は親、実際の負担者は本人になります。形自体に問題はありませんが、次の3点は先に話しておいてください。
- 支払いが遅れたとき、信用情報に記録が残るのは親である
- 治療が延びて費用が追加になった場合、誰が負担するのか
- 本人の収入が減ったとき、いったん親が立て替えるのか、計画を組み直すのか
医療費控除は生計を一にする親がまとめて申告できる
矯正費用は、条件を満たせば医療費控除の対象になります。噛み合わせなど機能の改善を含む場合が対象で、見た目の改善のみを目的とした矯正は対象外とされています。そのうえで知っておきたいのが、申告する人を選べるという点です。
医療費控除は、生計を一にする家族の医療費を合算して1人がまとめて申告できます。同居していなくても、仕送りを受けているなど生計が同じと認められる場合は対象になります(出典:国税庁)。
所得税は累進課税のため、所得が高い人が申告するほど戻る額は大きくなるのが一般的です。学生本人はアルバイト収入に所得税がほとんどかからないことが多く、申告しても戻る金額はわずかです。世帯として見れば、親がまとめて申告するほうが有利になる場面が多いということです。
なお、デンタルローンでは申告の対象になるのが信販会社の立て替えた年であり、自分が返済している年ではありません。金利と手数料にあたる部分は対象外です。
控除額の計算、対象になる矯正とならない矯正の線引き、申請の手順は歯列矯正の保険適用|3つの条件と、該当しなかった場合の医療費控除で扱っています。
契約前に確認しておく4項目
支払い方法を決めたら、署名の前に次の4つを確認してください。口頭ではなく、書面のどこに書いてあるかを指してもらいます。
1. 総額に何が含まれているか
装置代だけか、調整料や保定装置まで含むか。分割の対象はどこまでか。ここが違うと、分割が終わった後も支払いが残ります。
2. 手数料の実額
「金利5%」ではなく「総支払額◯◯円、うち手数料◯◯円」の形で示してもらいます。率だけでは比較できません。
3. 支払いが始まる時期と、治療が延びたときの扱い
初回の引き落としが治療開始の何ヶ月後か。期間が延びたら追加費用が出るか。
4. 途中でやめたときの取り扱い
すでに行われた処置の分は返金されないのが一般的です。加えて、デンタルローンやカード分割では治療をやめても信販会社・カード会社への返済は続きます。医院との精算と返済は別物です。
よくある質問
分割払いにすると総額が高くなる医院もありますか。
あります。手数料を医院が負担する場合と、利用者が負担する場合があるためです。一括払いの金額と分割の総支払額を両方出してもらい、差額を確認します。
途中で払えなくなったらどうなりますか。
デンタルローンやカード分割では、治療をやめても返済の義務は残ります。滞納が続くと信用情報に記録され、その後の契約に影響することがあります。払えなくなりそうだと感じた段階で、返済先と医院の双方に早めに相談してください。連絡せずに滞納するのが最も状況を悪くします。
卒業して収入が変わったら、支払い方法は変えられますか。
契約後の条件変更は原則できませんが、繰り上げ返済に対応する商品はあります。就職して余裕ができたら残りをまとめて返し、手数料の総額を抑えられる場合があります。可否は契約時に確認しておいてください。
親に知られずに契約できますか。
18歳以上で、本人の収入だけで審査に通る金額であれば、本人名義のみで契約できる場合があります。ただし承諾書を求められた時点で家族への相談が要ります。また矯正は1年以上通う治療で、通院や装置を長期間隠し続けるのは現実的ではありません。金額の話をする前に、治療を受けたい理由から伝えるほうが進みやすくなります。
まとめ|先に決めるのは金額ではなく名義と期限
学生が歯列矯正を分割払いにできるかは、学生かどうかではなく年齢と収入の継続性で決まります。18歳未満なら親権者の同意が要り、18歳以上なら本人で申し込めますが、審査は別の関門として残ります。
方法は3つあり、性格が異なります。院内分割は手数料がかからない代わりに治療期間内で払い切る設計、デンタルローンは回数を長く取れる代わりに就職後まで返済が残る設計、カード分割はその場で決められる代わりに手数料が高い設計です。同じ33万円でも、選び方で総支払額は8万円ほど変わります。
※歯列矯正は保険適用外の自由診療です。費用は医院・症状により異なります。
学生に固有の論点は、治療期間・返済期間・在学期間の3本の長さが違うことです。重ねておけば、「就職1年目に毎月いくら払っている自分」を確認したうえで契約できます。
医療費控除は、生計を一にする親がまとめて申告するほうが世帯としての戻りが大きくなる場面が多く、家族に相談する材料にもなります。どの方法を選ぶにしても、出発点は元金です。
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